令和4年電気通信事業法改正について
クッキー規制(R5.6.16施行)について
2022年6月17日に改正電気通信事業法が公布され、2022年6月16日に施行されることになりました。
「電気通信事業法なんてウチの会社には関係ない」と思っている方がほとんどだと思いますが、WEBマーケティングをしている多くの事業者にも影響が出る可能性があります。
(この記事は、2022年12月20日時点の情報を元に書いています)
以下、総務省「電気通信事業ガバナンス検討会」の資料をもとに説明します。
改正電気通信事業法の概要
今回の改正による規制は以下の2つです。
(1) 特定利用者情報(通信の秘密および利用者識別情報)の適正な取り扱いに関する規律
・取扱規程の策定・届出
・取扱方針の策定・公表
・取扱状況についての内部監査の実施と改善への取り組み
・統括責任者の選任・届出
・事故時の報告
(2) 利用者情報の外部送信に関する規律(← クッキー規制)
・送信される利用者の情報内容(クッキーなど)
ただし入力した情報の保持に必要な情報や表示の適正化のために端末のOSの情報や利用言語情報などは除く
・送信先の者の氏名・名称
・情報の利用目的
を確認の機会(同意・通知・容易に知りうる状態におく・オプトアウトのいずれか)を付与する
※容易に知りうる=ポップアップまたはWEBの場合は容易に到達できる場所
※オプトアウト:拒否の意思表示により拒否できること
そしてこの規制になる事業者は以下の通りです。
【1】利用者への影響が大きい事業者
・利用者が多い(無料1000万人、有料500万人)の電気通信役務
・利用者が1000万人以上&横断的な検索サービス(食べログは対象外)
・利用者が1000万人以上&コミュニケーションに係る情報媒介するサービス
(テキスト・動画などのSNS、登録制掲示板、登録制オープンチャットなど)
ただし、契約やアカウント登録不要のものは除く
⇒ 上記(1)の特定利用者情報に関する規律が適用されます。
が、大手の通信会社やISP、検索・動画・SNSなどの企業でしょうから、あまり問題ないでしょう。
【2】以下のサービスをアプリまたはブラウザで提供する者+すべての電気通信事業者
・利用者間のメッセージ媒介
・SNS、電子掲示板、動画共有サービス、オンラインショッピングモール
・オンライン検索サービス
・各種情報のオンライン提供(ニュース、天気、動画配信、地図、など)
⇒ 上記(2)の利用者情報の外部送信に関する規制を受けます。
※こちらは事業規模による適用除外がなく、上記サービスを提供するすべての事業者が対象
個人でやっているアフィリエイトサイトも対象になります。
参考: 外部送信規律に係る電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの解説案について
(プラットフォームサービスに係る利用者情報の取扱いに関するワーキンググループ(第22回))
経団連タイムス 2022年12月1日 No.3569「Cookie等外部送信規律の導入に向けた検討状況」
取らなければならない対応
今回の改正で、電気通信事業者でなくとも掲示板の運営や動画共有サービス、情報サイトの運営などをしている事業者で、クッキーの情報を第三者に提供している事業者は、クッキー規制の対象事業者となります。
具体的に言うと、例えば独自の情報サイトを運営していて、GoogleやDoubleClickにクッキーを利用可能にさせていたり(このサイトもそうです)、アフィリエイトのバナー広告を設置していたりすると、前述の「(2)利用者情報の外部送信に関する規律」に従い、必要事項を本人に確認させる機会(ポップアップやポリシーの公表)を用意する必要があります。
とはいえ、AppleのSafariはすでにサードパーティークッキーを拒否し追跡型広告を利用拒否していますし、GoogleのChromeも2023年中に同様の対応をとることを発表しています。